披講(管理人選) 第230回 10月句会

 

2 満月と夜勤の子からメール来る 秋 浪

夜勤のお子さんは疲れを癒すためふと窓の夜空を見上げたのです。メールを受け取ったお母さんは頑張っていながらも母を思う息子の心を感じ取ったに違いありません。

4 壊れては蘇る月露天風呂 豊作

上手い摑み方をしたものですね。確かにこの通りです。

24 秋爽や残り二台のレンタチャリ ひろ志

自転車貸しのところは常はたくさんの自転車があるのですが、この日が¥は二台しか残っていなかったのです。爽やかな秋は生きています。

26 秋晴のなかに私といふ異物 めぐる

「私といふ異物」には共感するものがあります。

34 松茸の分別裸電球下 兎波

高級な松茸と裸電球の取り合わせは生きています。実際に見たのでしょうね。実感があります。

40 神無月システマチックな通夜果てて 利尻

中七は「形式通りに淡々とした通夜」と言ったところでしょうか。「神無月」との取り合わせ生きています。

42 水じまん長々添へて新米来 寿々

良いお米を作るに適した水が生まれているのでしょう。上五中七は新米の句として新鮮です。

46 桐散るや落丁なせる同人誌

「桐散る」と中七下五の取り合わせ、何かを感じます。

51 柔らかな心で座る居待月 灌木

この感じわかるような気がします。

65 藁塚に凭れて明日を語り合ふ 幹夫

農村部の若者達でしょうか。昭和を感じる句です。

88 数式は解けず林檎は落ちて来ず ぎんう

数式と林檎には何の関わりもないのです。その関わりの無いものを結びつけて詩にするのが俳句です。

93 爽やかや弓道場の的の音 泥亀

弓が的に当たった音ですから、気分的にもスカッとします。

101 井月の墓は小振りや蕎麦の花

井上井月(せいげつ)。江戸末期から明治に掛けての俳人です。彼の生涯から「小振りな墓」「蕎麦の花」は合っています。

102 昇殿の足袋裏白し秋の祭 浜千鳥

足袋の白さは秋祭と呼応しています、又厳粛さもあります。

108 一向に既読とならぬ夜長かな 幹弘

LINEの既読かな。ここでの「夜長」は新しい素材に生かされています。

118 盛り付けて生姜天ぷら赤極む 灌木

天ぷらの盛り合わせ。その中の生姜の天ぷらの赤が先ず目にとまったのでした。こんな処に目がつくのが俳人です。

121 碁を打つや黒マスク対白マスク やち坊主

まさしくコロナの中の碁です。中七下五には思わず笑いました。

139 手の甲の残り蚊そつと吹き払ふ 寿々

秋の蚊が弱々しく手の甲に止まったのです。それを手で打ち殺すのではなく吹き払ったのです。ここが俳句のミソですね。

 

第230回 10月句会 披講(管理人選)

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