第197回 1月句会 披講(互選)

 

1 青蔦の自在を許す城址壁
あづみ野
(6票)
  乾いてボロボロの「城址壁」を覆い尽さんばかりの「青蔦」。長い年月の果てに青蔦の中で土に還ることを城壁は喜んでいそうで、とてもあたたかい気持ちになった。「青蔦」の生命力と輝きが、そう思わせるのかも知れない。 めぐる
  「自在を許す」という表現に一読でしびれました。 すみれ
  自在を許すの言い回しが面白いですね、只し城趾壁の造語ぽいのが引っ掛かりますが。 欲句歩(よくほ)
  擬人化は鑑賞の分かれるところかなと感じました。 私は「自在のままに」の方です。 灌木
  難攻不落の城も蔦には叶わない やち坊主
  青蔦の生命力と城址の古さとの対比が「自在を許す」で良く出ていると思います。最も惹かれた句です。 秋桜
2 六月や戦車を止めし青年は 
瞳人
(2票)
  画像を多くの人は見たと思います。「あなたはあの青年に今どうあってほしいと思いますか」と自問しています。 孝雄
  あの時一瞬輝いて。 おもちゃ
3 青田道歌って帰る一年生
勇魚
(4票)
  もう直ぐ夏休みです。 ひろ志
  一年生らしさがよく表現されています。 牛歩
  いいと思います。 石山
  奈呂
7 捨てる物洗う物決め更衣
やち坊主
(2票)
  捨ててしまえばそれで決着 豊作
  この句、実感として共感できます。ベテラン主婦の句か? 徹春
9 凸凹に路地を歪めて七変化
豊作
(1票)
  よくわかります。紫陽花は結構場所を取りますから、路地にはみでたら凸凹に見えると思います。 寿々
10 行く先の決断迅しかたつむり
やすし
(2票)
  先ず行き先を決めてあとはゆっくり 逆の方がいいかも やち坊主
  ゆっくりしか動けぬかたつむりの、決断が迅いというのは、新鮮で楽しいですね。 浜千鳥
12 サルビアの花でもてなす無人駅
牛歩
(2票)
  無人駅であろうが少しでも乗客に喜んでもらいたいというもてなしの心ご立派! 徹春
  ちょっとした心遣いが嬉しいですね。 ひろ志
13 挨拶のほかは寡黙に登山帽
ひろ志
(7票)
  山男のマナーか性格か 豊作
  疲れて挨拶しかできません。
  一斗
  山男は無口です。登山帽を深く被って簡潔な一言。 勇魚
  昔山登りをしたことを思い出します。 あづみ野
  そうですね。山男は概して寡黙ですね。女性も寡黙かなあ。 かかし
  山に行くとよく挨拶を交わしますが、この方は一途な山男という感じです。「登山帽」がいいですね。 柚子
16 夏衣亡母の生地は藍の里
浜千鳥
(1票)
  手仕事が愛を紡ぐ 豊作
18 行止り多き八橋花菖蒲
善夫
(4票)
  残念ながら途中で橋が終わってたりしますね
  一斗
 
  花に見とれ見とれて八つ橋の先を見届けず、アラ・マと返してまたパチリ。良い写真が多く撮れたことでしょう。 ひろし
19 サンダルを脱ぐ鳴き砂の浜に佇ち
宗太
(1票)
  素敵な夏の景に共感です。 幹夫
21 落書きのチョーク絵消して走り梅雨
ひろし
(1票)
  季語がとても合ってると思いました 。 寿々
22 噴水の縮む静寂や鳩の声
望生
(2票)
  縮むがいい線である。 泥亀
  噴水が縮むという表現。水が止まって訪れた静寂を破る鳩の声。鳩と自分しかいない午後の公園の一瞬を捉えた感覚が鋭いと思いました。 幹弘
24 古老等の自慢話や古団扇
牛歩
(1票)
  日の陰った縁台で、縮みの半袖シャツにステテコ、毛糸の腹巻き姿の爺達が扇いだり叩いたり、何の自慢か切りがない。・ ひろし
29 夏草や塀のみ残る売り家かな
牛歩
(2票)
  つぶしたその家には、どんな営みの歴史ありしや、と 瞳人
  侘しい景色ですね。身につまされます。 浜千鳥
30 この壁の向かふはきつと夏野原
ぎんう
(2票)
  夏野への憧れ、病中吟かも。 おもちゃ
  ハウルの動く城を思い浮かべました。壁の向こうに何か素敵な景色が広がっていそう。 浜千鳥
31 せせらぎに重ねし声やほととぎす
つかさ
(2票)
  こんな所に行ってみたいです。涼しそう。 寿々
  せせらぎを意識しながらほととぎすが鳴いているという発見が斬新。重ねし声という措辞が言い得て妙と思いました。 比良山
32 辛口と言いそびれたり水羊羹
ぴっぴ
(2票)
  おもてなしの羊羹の行方が気になりました。優しい作者ですね。。 明彩
  万年青
33 思春期の言葉少なしさくらんぼ
柚子
(5票)
  さくらんぼたべるのが忙しいのですね
 
  季語が思春期と呼応しています。 宗太
  思春期とさくらんぼが妙にマッチしていますね。それと言葉少なしも、効果的だと思います。 つかさ
  男の子も女の子も親とはあまり口をきいてくれない時期ってありますよね。何を考えているのか解らない...でも子供のことは信用したい。 さくらんぼと思春期の取り合わせはありがちかもしれないけど、やっぱりしっくりきます。 幹弘
34 夏料理運ぶ袂に風孕む
かかし
(5票)
  さっぱりとした夏料理と合わさって涼し気ですね。 ぎんう
  回廊を渡る仲居さんたちが浮かびました。風を孕む袂のように夏料理への期待感も膨らみますね。 すみれ
  涼風たっぷりの床料理でも召し上がって居られる情景ですね
  一斗
  情景が佳く詠まれており共感です。 幹夫
37 商店を一直線に燕の子
(1票)
  いいと思います。 石山
38 殻あれば可愛い筈もなめくじり
かかし
(1票)
  蝸牛がホームレスになってなめくじりになったのかも やち坊主
41 冷酒や父に哀しきこと有りて
つかさ
(1票)
  飲んだのは、父や、子や、さてと思わせて 瞳人
48 守護神のごとく青田の白き鷺
あづみ野
(6票)
  何と言っても「守護神のごとく」が素敵です。身じろぎもせずに立ち続けている姿がありありと浮かびました。「青田」は鷺に守られサラサラと風に吹かれて、健やかに育っていきます。「鷺白し」でもいいかな、とも。 めぐる
  越後平野のど真ん中に住んでおります。今はこういう風景は珍しくもなくなりましたが、初めて白鷺を見た時はその神々しさに感動しました。 よせふ
  散歩の足を市外の里山へ伸ばしたとき、私もよく目にします。 秋 浪
  爽やかな風に揺らぐ青田。大きく深呼吸。 ひろし
  近所の公園の水路にも同じような主がいます。見かけないと妙に気になって。 明彩
  こういう光景よく見ます。守護人神は面白いですね。 万年青
49 梅雨晴れ間漬物石の大欠伸
おもちゃ
(1票)
  梅雨晴れ間の一時のしっとりとした気だるさと緩んだひとときを漬物石が大欠伸したかのようだという擬人化表現が面白いと思いました。漬物石との取り合わせが絶妙。 比良山
51 健やかなアキレス腱や夏来る
ぴっぴ
(10票)
  力強いフットワーク、躍動する姿に爽やかな汗。スポーツをするものにとって「夏」は大きな大会のイメージと共に選手としての絶頂期かと思うと、「夏来る」にググっと来てしまいます!大仰なドラマを込め過ぎない上五も、あたたかなエールのよう。 めぐる
  健やかは羨ましいです。 泥亀
  サンダルの季節ですね。健康的な足首が夏の到来を喜んでいるようです。 すみれ
  健やかなアキレス腱と夏来るの取り合わせの妙 欲句歩(よくほ)
  この間までアキレス腱を傷めていた私には身に沁みた句です
  ジョギング中の人の脚でしょうか。引き締まった下肢に夏の訪れを見ました。 秋 浪
  上半身でなく、足を観賞しているのです。羨望として。 やすし
  夏になると素足の美しさが目立ちます。健康的なアキレス腱に季節を実感しました。 勇魚
  青年の足元と見ました。アキレス腱と(初)夏の取り合わせが良いと思います。 かかし
  若い方のアキレス腱でしょうね。「夏来る」との取り合わせで躍動感のある素敵な俳句になったと思います。 柚子
53 青竹を組みし結界夏の雨
ぴっぴ
(1票)
  京都の寺の庭を思い浮かべました。「組みし」が必要なのか少し気になったのですが、夏の雨が良い雰囲気を醸し出していると思います。 ぎんう
55 冷蔵庫卵の列に置くバター
一斗
(1票)
  味があっていいなと思いました。
58 みづでつぽうまどんなめぐるさばいばる
比良山
(2票)
  「まどんな」をマドンナした対称形などを楽しませていただきました。 灌木
  子どもたちの水鉄砲遊びでしょうか。すべて平仮名表記も子どもたちを想像させますね。 柚子
59 さくらんぼ小粒となりし志
よせふ
(2票)
  季語がよいです。 あづみ野
  志など小粒で充分ですよ。 思わず笑ってしまいました。 さくらんぼの季語が諦観の気持ちの 句を明るく表現していると思いました。 兎波
65 あなたとの日々ころころと山桜桃の実
めぐる
(1票)
  口調滑らかな御句。 宗太
66 ハイウェイの向かふ青空雲の峰
幹弘
(1票)
  もう一度このような経験してみたいと思う年になりました。 万年青
67 かわらけの届かぬ鳥居梅雨曇り
欲句歩(よくほ)
(2票)
  季語の梅雨曇りがよく効いており、かわらけを何度投げても上手くゆかないパットしない気分がわかります。 徹春
  奈呂
68 晩成の老いの才覚蝸牛
幹夫
(2票)
  暁孝
  全体の調子が良いと感じました。蝸牛も良く効いています。 かかし
71 素振り用バットかるがる雲の峰
めぐる
(1票)
  雲に向かっての素振りされる姿が目に浮かびます。 牛歩
74 ただ広いだけ日盛りの駐車場
よせふ
(2票)
  日盛りに駐車する車は少ない。普段の駐車場がより広く見えると。 おもちゃ
  広くて何も無いのが当たり前の駐車場ですが、日盛りという季語が付くと本当に暑そうな殺風景な景がうかびます。こういうのが俳句の楽しいところだと思います。 勇魚
83 竿先を弓なりにして鮎の川
ひろ志
(1票)
  早瀬に立って、身じろぎもしない鮎つりの人たち。夏が来た! はづき
85 立葵高さ競ひて先のぼる
秋 浪
(1票)
  暁孝
88 半夏生の白触れし指見てをりぬ
善夫
(2票)
  「指見てをりぬ」の表現に作者の心情がよみとれます。 宗太
  半夏生の葉の白い部分は誰かが悪戯に筆でぬったような人工的な感じがします。その感じを巧く表現されていると思いました。 兎波
89 影向石茂みにありて苔付かず
万年青
(1票)
  どなたかが、座すか宿るかしているのでしょう。 やすし
90 糸電話にメロンメロンとせがまるる
寿々
(1票)
  メロンメロンが効いていて、かわいい子供の姿が思い浮かびます。
92 撫でるよう風渡り来る青田かな
ひろし
(4票)
   青田を過ぎる風の姿が浮かんでくるようです。 望生
  丁寧に描写されておられますね。風の姿は見えないけれど、風の道すじがはっきりとわかります。 明彩
  豊穣への祈り。やさしい風を感じているのですね。 はづき
  「撫でるよう」の表現に惹かれました。 汕山
95 幼な日の傷に貼りたる血止草
あづみ野
(1票)
  懐かしい思い出です。 望生
96 緋の傘を選びし午後のソーダ水
一斗
(1票)
  暁孝
97 のほほんと過ぎ去る日日や初鰹
暁孝
(1票)
  恒例と言わないまでも「初鰹」は欠かせません。 孝雄
99 海月秘む太古の記憶持つ器官
幹弘
(1票)
  太古の記憶が上手い。 泥亀
100 釣針や伸び縮み輪になる蚯蚓
やち坊主
(1票)
  釣り針につけた餌のみみずの様を伸び縮みする輪と表現したところよく写生されており、面白く思いました。 比良山
101 万緑の真ん中に座す老樹かな
徹春
(3票)
  若い人たちに一人混じった貫禄ある老人の比喩と見ました。 秋 浪
  座す老樹だから、老樹は高くはないのですね。二つの情景を想像しました。 一つは、周りの万緑に負けず、雄々しく若葉を広げている老樹。 もう一つは、年を 経て、太い幹や、枯れた枝が目立つ老樹が、堂々と万緑の真ん中にある風景です。 はづき
  座す、がいいですね。老樹に堂々とした風格が窺えます。 つかさ
102 夏の雲ほどよき丘に上りけり
孝雄
(1票)
  森林を守護しましょう。 ひろ志
105 夏草を棒で打ち打ち下校道
ぎんう
(2票)
  小学生の下校姿を見事に描写されています。 牛歩
  以前はよく見られましたが いまの 子供たちには見られなくなりました。なつかしいお句です。 あづみ野
107 まだ首の座らぬ赤子七変化
兎波
(3票)
  赤ちゃんの無限の可能性を七変化に託す妙 欲句歩(よくほ)
  赤子の成長と「七変化」との取り合わせ、人生は未知で長い。 孝雄
  取り合わせがいい。 汕山
108 独り来てよその子と見る蛍かな
柚子
(2票)
  「独り・よその子」の広がる背景に「蛍」は動かないと思いました。 灌木
  寂しさも吹っ飛びますね。 望生
114 梅雨空やプラスチックの集積場
ひろ志
(1票)
  プラスチックの質感とそれがゴミとなって積み重なっている様子が、梅雨空と上手く響き合っている印象を受けました。 ぎんう
115 退院の身に沁みとほる若葉かな
はづき
(2票)
  退院おめでとうございます。身にも目にも若葉が沁みとおる様子が伺えます。お大事になさってください。 秋桜
  退院おめでとうございます。 汕山
116 緑さす茶室に一つ猪目窓
宗太
(4票)
  仏壇金具師の家に生まれ八相金具にイノメ鏨でハート形の穴をあける仕事を経験しております。 よせふ
 
  先月末、京都の名庭園のお茶室を拝見してきました。 緑の中のお茶室は丁度この様な状況でした。(猪目窓)ではなかったけれど、重要文化財でした。 秋桜
  猪目窓がいいですね。勉強になりました。 つかさ
118 若葉して若葉の香る風を待つ
暁孝
(1票)
  いいと思います。 石山
120 車椅子に寄り添ふ白き大日傘
寿々
(2票)
  素敵なご夫婦が浮かびます。
  白ですか、桃とはいかぬ、そうはいかぬ、と 瞳人
122 島原の大門鎖さず夏の月
宗太
(1票)
  調べて京都の島原大門だと知りました。遊郭だった頃の歴史にも思いを馳せることができ、涼しげな夏の月との取り合わせも素晴らしいと思いました。 幹弘
123 美術展は一人がよし心太
すみれ
(1票)
  季語がぴたり。腹にをさめて無駄口きかず。 やすし
131 かなしみは空より青く額の花
(1票)
  「額の花」が佳いですね。 幹夫
134 父の日の父のレコード「アヴェ・マリア」
おもちゃ
(2票)
  オヤジって結構趣味がよかったみたい‥‥アルカデルトのアヴェ・マリアなんかあるじゃん。 よせふ
  鑑賞していくと、奥行がある句に感じました。
135 青梅や絵文字を返す時の照れ
幹弘
(1票)
  分かります。でも使いたい気持ち。 梅の実も梅干になるとすっかり開き直つた感じですが青梅の頃は、色も形も照れくさそうですね。 兎波


選評のみあった句

 
 
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