披講(管理人選) 第226回 6月句会

 

16 むつつりと松島見下ろすサングラス 里山歩

松島とサングラス、妙に呼応しています。松島を詠めなかった芭蕉の現代版。

19 愚痴を聞きどっと崩れる冷奴 牛歩

中七が良いですね。作者は黙って聞いているでしょう。

23 カーナビを頼りにくぐる虹の橋 兎波

虹という自然界の美しい物と人工的な便利品との取り合わせ。意外性があって面白いです。

36 梔子の花や発熱外来へ 比良山

梔子の花と発熱外来呼応しています。

39 どなたかな帽子マスクとサングラス 秋桜

どなたも経験するのでは。上五が面白いです。

42 夏帽子吊橋越えて丸太橋 ぎんう

トレッキングをしているのでしょうか。中七下五の省略効いています。

44 登山帽小脇に挟み黙祷す やち坊主

登山帽は日除けだけでなく、事故を守る意味でも被ります。それを脱いでの黙祷。一瞬御巣鷹山の日航機事故が思い浮かびました。

91 汽笛一声万緑の山動きけり 幹夫

本当は汽車が動いているのです。中七下五の捉え方良いです。

92 さくらんぼ片手で足りる友の数 暁孝

歳を経る度に友が減ってゆくもの。ここでの「さくらんぼ」一見につかわないですが、何かが感じられます。

101 表裏開けて青田の風通す 勇魚

「表裏開けて」が青田風を生かしています。涼しい家中が思われます。

102 豪快に藁もて鰹ひと炙り

鰹のたたきでしょう。藁だけに火も煙も盛んなのだと思います。

105 覚えたる水兵リーベ星涼し 幹弘

元素記号の覚え方。今でも忘れていないのです。

109 萍の思ひもかけぬ厚みかな 紫宗

掬ってみたのですね。その好奇心こそ俳句の原点。

123 大緑陰に実朝公の五輪塔 汕山

暗殺された実朝の墓を大緑蔭が包んでいるのです。歴史を感じさせる句です。

125 マスクにも一日の疲れ百合の花

マスクを一日しているのも疲れますが、マスクの方も形が崩れたり、色が付いたりで疲れたように見えたのです。季語も悪くありません。

126 つくばひの筧を走る青蜥蜴

狭い筧だけに、この青蜥蜴は写実的。

129 十薬の白裏庭の暗さ増す 勇魚

十薬の白があることで暗さが増した、と言う捉え方は、実感的でありながら詩的です。

144 飴色の葭戸に替へて風通す フリージアの君

「飴色の葭戸」は葭戸が実感的に把握されます。しっかりしています。

156 十薬の境埋まり遠会釈 やすし

十薬がはびこって近づけないのです。季語を上手くいかしています。

 

第226回 6月句会 披講(管理人選)