披講(管理人選) 第236回 4月句会

 

5 少女より席譲らるる窓若葉 あづみ野

電車の中の一齣かな。窓若葉いいですね。

14 鼻歌も混じる筆先染卵 紫宗

復活祭の染卵。その準備の一齣を詠んでいます。こんな染卵の句は初めてです。

25 轆轤挽く指先真つ赤利休の忌 兎波

轆轤を廻して土を扱うのも労働として大変なものなのでしょう。その苦労の末に茶盌が生まれてくるのです。

32 昔日の酸がる汚点や夏蜜柑

昔の失敗を夏みかんの酸っぱさを味わいながら思いだしているのです。

47 運動に桜蕊降る道を掃く

身体を動かすための掃き掃除。「桜蕊降る道」ぐらいが丁度良いのかも。

57 春寒や孤食黙食マスク食 比良山

全くコロナ禍の食事状況ですね。世相を俳句的に切り取っています。

58 花冷えや八一のかなも強張りて たか

中七下五の捉え方には驚きました。この感覚的把握ユニークです。

69 開いても開ききれないチューリップ 豊作

チューリップとはこんな形です。「開ききれない」は秀逸。

72 宍道湖の蜆汁出す喫茶店 ロジーナ

ランチの汁物でしょうか。喫茶店という意外さが生きています。

79 楽浪の湖へ寺門の飛花落花 宗太

「楽浪」は近江の国の古名です。琵琶湖へ飛花落花が舞い込んでいるのです。

89 木の芽時山火事注意の旗掛かる 汕山

山火事はその山の息吹を台無しにします。取り合わせが生きています。

91 一人来て桜しべ降る石畳 牛歩

花は終わっていたのです。淋しさが出ています。

96 カタクリよ もう咲くころか  つまと出 釈 正峰

原句を下敷きに〈妻と手を繋ぎ片栗見に行かん〉と作って見ました。俳句とはこういう方向です。尚575の間を空ける必要はありません。

110 風船や哭く子笑ふ子むづかる子 ひろ志

風船一つで児の動き、表情は様々なのです。

113 残る鴨人の気配に泳ぎ来る 柚子

人間は危害を加えるものでなく、餌をくれるのだと鴨は知っているのです。「残る鴨」生きています。

119 亡夫描きし桜に会ひに夕散歩 秋桜

その桜はご主人がかつて描かれたままの満開だったのでしょうね。ここでの「会ひに」の擬人化生きています。

125 在りし日の夫の愛車に花吹雪 カンナ

その車はご主人が亡くなられたあとも処分せず置かれたままなのでしょう。作者の想いが込められた俳句。

126 花過ぎて石に手書きの道祖神 あさふろ

彫ってあるのではなく、手書きで描かれた道祖神なのです。花盛んの時は誰も気付かなかったかも知れません。

147 鈍行の窓いつぱいに山笑ふ ぎんう

中七下五の表現は生き生きしています。

 

第236回 4月句会 披講(管理人選)